湖の真ん中に佇む大井川鐡道 井川線の奥大井湖上駅へ行ってきました
もうすぐ桜が咲こうかという晴れた日に、かねてから行ってみたいと思っていた大井川鐡道の「奥大井湖上駅」に行ってきました。
こちらの大井川鐡道は大井川本線と井川線から成る鉄道で、今回訪れたかった「奥大井湖上駅」は静岡県の川根本町にある井川線の駅の1つです。
大井川鐡道の井川線は最大90.0 ‰の急勾配を鉄道が上り下りするために、現在では日本で唯一のアプト式という特殊な方法を採用しています。
人間で言ったら、上級コースの雪山を直滑降するような感覚の勾配でしょうか。
南アルプスあぷとラインの愛称で親しまれています。
アプト式とはラック式鉄道の方式の1つだそうで、列車と線路のそれぞれに歯車のような滑車を装備して、1つ1つの歯車をかみあわせることで勾配の強い坂道で列車を押し上げる動力を生み出したり、勾配の下りでは列車の下りの速度が出すぎないように少しずつ勾配を下っていくための技術だそうです。
今回は奥大井湖上駅を満喫するために、車で井川線の発着駅である「千頭駅」(せんずえき)に向かい、そこから奥大井湖上駅まではバスを利用します。
バスを降りてからは、奥大井湖上駅の風景を眺めて堪能した後にアプト式の大井川鐡道井川線に乗り、奥大井湖上駅から千頭駅まで戻ってくるという工程で日程を組みました。
千頭駅に到着
自宅を日が昇る前に出発して途中で時間調整などを行って、千頭駅には9時半頃に到着しました。
平日だったので、千頭駅前に人影はまばらでしたが大井川鐡道の井川線の車両が駅前に何両も停車していて、「あー、今日はこれに乗るのか!」とグッとテンションが上がります。
駅にはトーマスの機関車やかなり旧式の列車も停車していて、鉄道ファンでなくともワクワクする光景です。
2024年は6月以降にスケジュールが発表されるようで、この時期はトーマス達はお休み中でした。
バスが千頭駅に到着するまでにはまだかなり時間があったので、千頭駅にある転車台や昔の千頭駅の施設を改装したと思われるカフェなどを見ながら散策して待ちます。
元々転車台はイギリス製で2001年に登録有形文化財になったそうです。
千頭駅周辺を歩き回っていると、千頭駅から列車が出発する時間になりましたので、見送りをします。
赤い車体がとても眩しいです。
車体は私たちが日常で利用する電車の車体よりは一回り小さい可愛らしいボディです。
11:00発の大鉄バスに乗車
千頭駅から出発するバスの始発は11:00です。
千頭駅前のこちらのバス停から出発します。
この頃になると、いくらか人が集まってきてバスを待つ10人ほどの列ができました。
千頭駅から奥大井湖上駅までは大体25分くらいかかります。
料金は現金払いのみなので、現金を用意しておくと便利です。
奥大井湖上入口までは大人一人片道680円です。
バスの車内では車掌さんが途中の観光スポットを案内してくれたり、奥大井湖上駅の見どころなどを親切に案内してくれます。
車内から千頭駅の車両庫や吊り橋、急勾配が一番きつい長島ダム駅からアプトいちしろ駅間の線路の様子を見たい場合は、進行方向向かって左手の座席に座ることをおすすめします。
一瞬なのですが、橋のような道が上へ上へ登っていく様子が見れるのですが、この高低差を昇り降りしてくのが大井川鐡道の井川線です。
長島ダムに到着する手前で見ることが出来ます。
途中の長島ダムの様子や車内からいち早く奥大井湖上駅の様子を見届けたい場合は、進行方向向かって右手の座席に座ると景色が楽しめると思います。
奥大井湖上駅と接岨湖の絶景!
バスは奥大井湖上入口で止まりました。
バスはこの先にも進みますが、全ての乗客はこのバス停で降りました。
行きでバスを利用したのは、奥大井湖上駅を見渡せる展望台に一番近い場所で降りることができるためです。
乗客は全てこの奥大井湖上入口のバス停で降りて行きました。
バスを降りてまずは上からの奥大井湖上駅を堪能します。
少し道を上っていくと、奥大井湖上駅を正面に写真撮影できました。
前日雨がかなり降ったので湖の水が濁っているかもしれないと車掌さんが話していましたが、充分な美しさ。
美しい景色を楽しんだら、バス停の方に引き返して展望台の方へ向かいます。
バスを降りて、大抵の人はこちらの道を進んで展望台へ向かいます。
展望台のあたりはひときわ見晴らしが良くなっていて、パンフレットでもよく見かける奥大井湖上駅と接岨湖を一望できる場所に出ることが出来ます。
湖の上の少し張り出した陸地の部分が湖の上に浮かぶ奥大井湖上駅になっています。
ちょうど下りの大井川鐡道の井川線が奥大井湖上駅に入線してくる時間だったので、奥大井湖上駅と列車を写真に収めることが出来ました。
本当にいい天気でよかった!
奥大井湖上駅は橋の上を渡って駅に向かうことが出来ます
11時~12時過ぎくらいの奥大井湖上駅は上りと下りの列車が30分おきくらいで到着するので、観光するのに一番いい時間かもしれません。
展望台から急な階段を行くことで、井川線の線路脇に出ることが出来ます。
ここから階段を下っていきます。
階段を下りきると、先ほど展望台から見ていた湖の上を駅まで歩いていくことになります。
ちょうど、列車が奥大井湖上駅を出発していく場面に出会いました。
おそらくここでしかできない体験だと思います。
すぐ目の前を大井川鐡道の列車が過ぎ去っていく光景は大迫力でした!
奥大井湖上駅のカフェと公園
湖の上の橋のレインボーブリッジを渡って奥大井湖上駅まで歩きます。
風が少しありましたが、晴れていてとても気持ちのいいハイキングになります。
奥大井湖上駅で降車する乗客はもれなくこのレインボーブリッジを渡って、階段を上り、展望台へ向かうことになると思います。
奥大井湖上駅にはログハウスのカフェとその裏に小さな公園があります。
カフェは平日はお休みのようですが、中に入ってトイレ休憩ができるようになっています。
カフェのテラスから奥大井湖上駅を見下ろす光景もまた良し、です。
平日は食事をする場所がないので、何か少し食べ物と飲み物を持っていくのをおすすめします。
13:05発の列車で千頭駅に戻ります
13:05に千頭駅へ戻る列車が入線してくるので、ホームで待ちます。
しばらくすると、大井川鐡道の車両がやってきました。
奥大井湖上駅から千頭駅までは約1時間ほどの乗車になります。
乗客は私たちを含め、3組ほど。
車両は5両ほどあったので、各組が1車両ずつに乗り込むという贅沢な乗車になりました。
私たちはトロッコ部分が併設されている車両に乗り込むことにしました。
風を感じながら湖の上を走る列車を最後まで堪能することが出来ます。
「長島ダム駅」と「アプトいちしろ駅」の間の連結と切り離しも見どころ
奥大井湖上駅を離れてからも、大井川鐡道の井川線はまだまだ見どころがあります。
途中駅の「長島ダム駅」と「アプトいちしろ駅」の間は勾配がかなり急なので、アプト式列車の連結と切り離し作業があります。
下りの場合、長島ダム駅で一旦停車してから、アプト式の列車を前方に連結する作業があります。
この先頭列車にさらにもう1両がやってきます。
そして、連結作業を行います。
こうすることで、列車が急勾配をゆっくり下ることができる仕組みになっているようです。
長島ダムを横目にゆっくりゆっくり降りていきます。
そして、急勾配を下り終わった先にはアプトいちしろ駅があります。
アプトいちしろ駅で先ほど連結していた先頭列車を切り離します。
先頭車両が切り離されていきました。
列車に乗っているとそこまでの急勾配を感じませんでしたが、アプトいちしろ駅に近づく頃にはものすごい高低差を移動していたことに気がつきます。
アプトいちしろ駅では少し停車するので、トイレ休憩をするならばこの駅で立ち寄ることが出来ますよ。
「川根小山」駅では上下線が行き違います
大井川鐡道の井川線はさらに進むと「川根小山」駅で上りの列車と行き違います。
バス停ほどの小さな駅舎しかない無人駅でホームもかなりこじんまりしています。
確かに川根小山駅に到着する前に車内アナウンスで「上りの列車にお乗り換えのお客様は~」と案内していたので、ここで降りて反対ホームで上りの列車を待って上り線に乗ることもできるようでした。
反対側の車両がやってきます。
そして、すぐに発車していきました。
上り線に乗り換えるという楽しみ方もできるんだ!と納得しました。
桜の季節にはこの駅の周りには桜がたくさん咲くようなので、その時期に来たらまた綺麗な景色が見られるので違った楽しみが出来そうです。
あっという間に千頭駅に到着
奥大井湖上駅から千頭駅までは約1時間ほどかかるのですが、あっという間に到着しました。
列車に乗りながら前方を見ていると分かるのですが、かなりくねくねした線路を列車が走っていく様を見ることが出来ました。
千頭駅や他の途中駅は古い駅の風景が残っている場所が多く、映画などの撮影によく使われるそうです。
千頭駅にも昭和の感じがたくさん残っていました。
大井川鐡道の井川線に乗車した感想
ずっと乗ってみたいと思っていた路線でしたが、期待以上の素晴らしさでとても楽しかったです!
週末はSLに乗車することもできる区間があるそうなので、週末はもっと混みあうんだろうと思います。
SLに乗車する場合は、大井川鐡道の新金谷駅~家山駅間を乗車するようです。
運航日は大井川鐡道のHPから確認することが出来ます。
休日は観光客で混雑する日もあるのだと思いますが、平日は乗客もそこまで多くなく、のんびりと奥大井湖上駅の風景や井川線の車内を贅沢に堪能することが出来ました。
法律の改正で距離の制約が出来たらしく、首都圏からのバスツアー客の誘致が出来なくなってしまって経営はかなり厳しい状態もあるそうですが、車掌さんや駅員の方々がとても親切にして下さりました。
本当に素晴らしい鉄道と風景が広がっているので、これからも大井川鐡道が継続して運営されることを願っています。
今回、私たちは千頭駅まで車で行くことにしましたが、公共交通機関を使って移動する場合はJR東海道本線で金谷駅まで来る必要があります。
家山駅までは大井川鐡道の運航があるのですが、現在家山駅から千頭駅まではバスを利用する必要があります。
また、井川線も接岨峡温泉駅から井川駅までの間が鉄道施設点検のため運転を見合わせているそうです。
時間に余裕があれば、接岨峡温泉に宿泊したり、日帰り温泉を利用することも出来るそうですよ!
接岨峡温泉駅から30秒の「森林露天風呂」や食事もできる「せっその湯」などが気になりました。
宿泊するのであれば、寸又峡温泉の「湯屋飛龍の宿」や「川根温泉ホテル」も良さそうでした。
お出かけの際は、大井川鐡道のHPを確認してから行くことがおすすめです。
大井川鐡道のHPでお得な切符の販売も行っているので、旅行の予定に合わせて検討してみてはいかがでしょう。
大井川鐡道
大井川鐡道のHP:https://daitetsu.jp/